見てきました。
原作漫画は1巻発売当時から追ってきており、ビッグになったなあ……と謎の感慨に浸りながら鑑賞。
全体的に流れは漫画そのままなので、漫画を全部読んだ人が是非見るべき、かどうかはよく分からん。 漫画より面白い!かというとそうでもなく、漫画と違って面白い!というわけではないので…… や、感動もしたし面白かったんですけどね(泣いたし!)
以下、ネタバレ感想など。
上記の通り、展開は漫画とほぼ同じです。 細かいエピソードが抜けて、最後の収拾の付け方がちょっと違うくらい。
最後のアレに関しては、むしろ原作の「元からああすることを決めており、全員が納得していた」という方にちょっと無理を感じているので、映画の方がまだマシという気もする。 だって、仲間の中で犠牲になるのは一人だけって納得できるか? 私は出来ん。 本人がどんなに望んでいてもイヤだ。
あと、Yahoo!の映画評とか見てると、社会問題に関するリアリティのあるなしで評が別れているようですが、これは身につまされているか否かというのが大きいような気がします。 一度足を踏み外すと二度と這い上がれないかも知れない、頑張っても報われないという感覚が理解出来るか?という話で…… 私はゲイツのパワハラの辺りは見てて胃が痛くなりました……(笑)
この辺はやわらかめに表現した「ボーダーライン」(「相棒」伝説の鬱回)みたいな感じ、と言えば分かりやすいでしょうか。 状況としては別に柔らかくはないが。
まあ、リアリティという点では、ゲイツがイケメン過ぎるので、あんな風には苛められないだろうな!と思うけどね! イケメンと美女はそれだけでアドバンテージを持っているのだ。
あの社長が報いを受けなかったのが納得出来ん!という意見もチラホラあったし私も同意するが、「自分の為にやっている訳じゃない」から絶対に手は下せないんだよな。 それこそ因果応報で自滅してくれればスカっとするってなもんですが、現実だとそれもないしね。 (だからこそフィクションにはそれを望むのだ)
映画見てて、原作と大きく違うなと思ったのは、キャラクター。 特に奥田(ゲイツ)と吉野(絵里香様)。
奥田は原作もっと冷酷だよな。 最終目的がそこにあって、何でそんな冷徹になる必要があるんだ?と思うくらい。 ノビタの傘のエピソード、「捨てろ」と「大事にしろよ」で天と地ほどの差があるよね。
あと、もっと違うのは吉野刑事。 映画では、どん底から這い上がってきた努力家(故に努力できない人間は甘えていると見做す)という設定だったけど、原作はあれ、簡単に言えば女版杉下右京で、『共感』不在の人間だった気がする。 愚かさに容赦はないけど、「自分と違う他人を認めない」という考え方はしないはず。 (共感するかしないか?というアプローチは無い) 他者に関しては個別のケースとして考えて、論理的に理解する、というようなキャラクターだった……ような気がするんですが……原作が引越の際に何処かに行ってしまったので確かめられん。
奥田との対比で観客に「格差」というのの説明をするための設定かなーとも思うんだけど、吉野刑事に関しては原作の方が好きだ。 原作の方が、さらに「正反対」にいる人間だったとも思うんだけど。
共感も同情もせんでええのや。 抱きしめるよりも、死体の胸ぐら掴んで罵詈雑言浴びせる(それが唯一のラブシーン)の方が、私としては好みです。
ただ、映画のテーマは「それでもこの世界には生きる価値があるのよ!」なんだろうな。 ゲイツは自己完結して幸せかもしれないけど、終わらせるべきじゃない、終わらなければ未来があったはず。 人のため、と何度も言ってるけど、最終的に自分の為だったような気もするし。
原作読んだ時も思ったけど、この結論でいいのか? というモヤモヤは残る。
あと。 最初の事件については、もちろん殺人は悪だし、あの時に殺さなければ別の道があったかも知れない、とは思うけど、もし、自分が同じことに遭遇した時に、相手に制裁を下さないことを自分に許せるんだろうか? と思うとあまり自信が無い。 実際には下さないのかも知れないけど、むしろ、あの時自制するべきで無かった、と後悔し続けるような気がするし、彼らにはあの選択しかなかったのだろうな、とも思う。 (ここは原作と全く同じだけど)
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