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2015年12月12日の日記

Persona Non Grata.
何かと評判の良い「杉原千畝」を見てきました。

あんま好みじゃなさそうな予告編だったので実は見る気が1ミリもなかったのですが、好みの傾向があう方々が「面白かった!」と仰ってたので、これは見に行こう!と。

「日本のシンドラー」とかよく言いますけど、この映画はむしろ、副題のPersona Non Grata(=好ましからざる人物、外交用語 Wikipedia)という側面が強いストーリーでした。


以下、ネタばれ解禁感想だ。


ジャンルとしては感動ものとかいうよりもむしろ渋めのスパイもの(笑)
もちろん感動要素は大きいけど。

見ていてどうも日本映画の文法で撮られてないなあ、何でだろう、と感じる。
(というほど日本映画を見ていない気もするが、それでもわかる)
冒頭、007ばりの掴みを見せ、多少のアクションあり、カーチェイスあり、ハリウッド映画か!?と思ったら監督(日系の血は引いてるけど)ハリウッドの映画監督だった……。
なるほど納得、というか当然だった。


作中、繰り返し出てくるのが「世界を変えたい」という言葉で、これがまず表のテーマ。
(英語の台詞では「世界をより良いところに運んでいきたいんだ」と言っているので、そういう意味です)

で、二つ目。
千畝は未来を的確に予知し、それを変えようと努力するけど、それによって自分自身の居場所は奪われていく。
独ソ開戦を予言し、日本の敗戦を予言し、ソ連からもドイツからも、故国からすらも睨まれ、ルーマニアのブカレストの収容所で敗戦を迎える。
行動すれば行動するほど、Persona non grataになっていくのです。


ラスト、モスクワにて。

「外務省を離れたと聞いて――」
「それで良かったんですよ。今は小さな貿易会社で働いています」
「ついに居場所を見つけたということですね」
「いや、私は今でも世界を変えたいと考えていますよ」


それでも、彼によって救われた命は世界中に散らばり、それは少しでも世界を良いところに運んでいくのかも知れない。



ところで、ラスト近辺の妻の

「初めて、本当にピクニックに来たみたいですね」

という台詞、今までのピクニックっぽいものは諜報活動のカモフラージュだったから、という意味なんだけど、そう言っている場所がルーマニア(鉄のカーテンの向こう側)で、かつ、ヨーロッパで本当にピクニックが出来るようになるのは、この実に45年後なのだなあ……とか思うと、そこまで掛けてたどうか分からんけど、考えてしまうものがあった。



あと、救えなかった家族の運命が、一番最悪なルートであああ……という感じ。
ポーランドだもんなあ。



あとやっぱり、アレですケストナーの「終戦日記」(ドイツ国内からの敗戦を描いた日記文学)映画化してけれ。
あれちゃんと映画化したらちょう面白いと思う。演劇でもいい。
2015年12月12日(土)   No.508 (日記)

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Persona Non Grata.

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