書き出しでやられた。
”主役は《カプット》、この陽気で冷酷な怪物である。"Kaputt"堅い、ほとんど謎めいたドイツ語、語釈としては《「壊れた」「尽きた」「粉ごなに砕かれた」「破滅した」》を意味するこの言葉ほど、いまのわれわれがなにであるか、今やヨーロッパとはなにであるかを、つまり瓦礫の堆積を、いいあてている言葉はないであろう。そして言うまでもないであろう、私は昨日のヨーロッパよりも、二十年前、三十年前のヨーロッパよりも"壊れた"ヨーロッパを選ぶ。一切を不変の遺産として受け入れねばならないことよりも、一切をやり直すことを私は選ぶ。”
――「壊れたヨーロッパ」クルツィオ・マラパルテ 古賀弘人訳 より
これは序文ですが、第一章から物凄い。 「凄い本」です。 恐らく重版未定(ほぼ絶版)ですが。
しかし内容が非常に重いので、ゆっくり読もう、ゆっくりと。
|